• PK戦までもつれ込んだ準々決勝。最後はGK塩田のファインセーブで準決勝進出を決めた=寿城区民運動場で(岩田陽一撮影)

  • 前半8分、村山がペナルティエリアで倒されPKに。山崎(右)が落ち着いて決め先制

  • 後半39分、近賀ゆかり(日体大)左がゴールを決め、喜び合う選手たち=寿城区民運動場で(岩田陽一撮影)

中国との死闘はPKの末、日本に軍配!

[ユニバーシアード2003]サッカー男子準々決勝 日本VS中国(2003年08月26日 22時00分)

 両者とも死力を尽くした戦いはPK戦の末、日本に軍配が上がった。日本は開始7分、山崎がPKで先制点を取るものの流れの中から点が取れず逆に62分、失点を許してしまう。そしてむかえたPK戦。塩田のファインセーブなどで気力に勝る日本が準決勝に進出した。
 試合は突然、動いた。開始からわずか8分、フリーキックの際に村山が倒され主審はPKを宣告。キッカーは南アフリカ戦、2ゴールした山崎。これをきっちり決め先制。その後も中盤で自由にボールを回す日本は、10分山崎のキープから堀が強烈なシュート。しかし、ボールはポスト右へ外れる。この後も一方的に攻める日本だったが守備を固めた中国のゴールをなかなか割ることが出来ない。後半、中国もセットプレーとカウンターから日本ゴールを脅かす。すると63分。河端のクリアミスを中国に拾われてしまい、ワン・シュンユーに豪快に決められてしまう。これで勢いに乗った中国は78分にまたしてもワン・シュンユーがキーパーをかわしてシュート。ここはライン上でギリギリでクリアするが中国の猛攻は続く。勢いを絶ちたい日本はここで前の試合2得点の原を投入する。しかし、完全にひいている中国に対して「裏のスペースがなかった」(原)というようになかなか良い攻撃をすることが出来ない。逆にロスタイム、必死にボールに食らい付いていった田中が負傷。交代を余儀なくされた。そして試合は1-1のまま終了。PK戦へ突入した。
 最初のキッカーは中後。「あんまりボール触ってなかったんで軽く緊張しましたけど」といいながらも落ち着いて決る。その後も両者譲らず迎えた中国3人目。「1,2本目は相手に動きをみきられていたので最後まで動かなかったら相手があまいコースに蹴ってくれました」(塩田)というように静寂のなかから放たれたボールは次の瞬間歓喜に変わった。日本は次のキッカー田代も決め、止めれば最後という場面。リ・シュングが放ったボールは塩田の足に当たり高々と宙へ。この瞬間、日本は2大会連続の準決勝進出を果たした。
 「トーナメントである以上こういう試合は絶対にあると思った。それだけにこの試合をものにできたのはおおきい」と試合後、岩政は語った。西田監督も「充分ではないがみんながみんな、自分のやるべきことをやってくれた」とこの勝利を喜んだ。しかし、いい話題ばかりではない。途中退場した田中はユニバ期間中のプレーは絶望。「これからが厳しい戦いになるでしょう」(西田監督)と語った。課題は残った。しかし、今日の勝利でチームに勢いが出てきたことは確か。ユニバーシアード2連覇がいよいよ現実味をおびてきた。
(サッカー班・内田浩嗣)

■田中が負傷!ユニバ絶望か!?
 ロスタイムにルーズボールを拾おうとスライディングにいった際、相手の足が膝に入り途中交代を余儀なくされた田中。同僚の中田も「あんまり痛がったりしない奴があんなに痛がってたので心配」と田中の様態を気にした。詳しくは明日にならないとわからないが「今大会は無理そう」(西田監督)とコメントした。
◆西田裕之日本代表監督
「前半のPKまでは相手が8枚で攻めてくるということでその背後を突いてサイド攻撃が出来ていたんですが疲れてきたのかリズムが悪くなってしまいましたね。まぁ、一点入れられながらも流れ的に向こうに行きかけたんですけどそこをグッと頑張ってくれて最後よく頑張ってくれましたよ。田中信成なんて体を張って本当によくがんばってくれましたよ。みんなが体を張って勝つという気持ちをよく出してくれました。(PK戦については?)よくやったとしかコメントがないですよ(笑)。一応、昨日練習しましたけど最後が岩政だったんでドキドキしてました(笑)。(塩田君の活躍については?)よくやってくれました。PKの前に「ノブのぶんまで頑張ろう」と言って、みんなでその分頑張ってくれましたよ。感動しましたよ。ちょっと涙流すのがはやかったですけど、あのノブの痛々しい姿をみると…、どうしようもなく出てきましたね。つぎからもこんな試合でしょう。とりあえず明日しっかりと調整して頑張りたいです」
◆中後雅喜(駒澤大学)
「今日はちょっとしか出てなかったんで…、いいグラウンドだったとおもいます(笑)。今日のゲームは失点はしましたがそこで1点で頑張れたのが今後のプラス材料になると思います。PKはいつも蹴っているんで慣れているといえば慣れているんですけど。ただ今日は全然、ボールタッチしてなくて2タッチ目ぐらいで蹴らされて。軽く緊張しました(笑)。とりあえず一番いい色のメダルをとろうと思っているんでもちろん次勝って決勝にいきたいと思います」
◆原一樹(駒澤大学)
「いや~、10分足りなかったですね(笑)。点を取る気ばりばりで行ったんですけど。やっぱチャンスがなかったですね。もうディフェンスラインがひいちゃって有三さんが競っても全然カバーがいてまずいなと思いました。点を取りたかったですよ~!!監督からは裏を狙って行けといわれたんですけど中国がひいてて裏ないじゃんってかんじでした(笑)。次は準決勝ですけど、もう優勝しか考えてません」
◆岩政大樹(東京学芸大学)
「苦しい試合でしたけどトーナメントである以上こういう試合はあるだろうし、それをものにできたことは貴重だと思います。みんな気合いが入ってたし、ノブなんかも体をていしてよく守ってくれました。(守備陣については?)このチームの安定しているところはディフェンスに4年がおおくてすごくみんな粘り強く、精神的に強い選手がそろっていると子だと思うんで今日は1点とられた後もそれが発揮出来たと思います。中国は自分たちのチームをよく研究して、攻撃を徹底してるなという印象を受けましたね。荒いチームで個人的には楽しかったです(笑)。PK戦は信成のあのプレーがあって盛り上がって勝てたところもあると思うんで。彼が体を張るとチームが盛り上がる部分があるんですよ。だから今日もいいプレーだったと思います。彼にもそう声をかけました。ここまできたらメダルをかけた戦いなので明日、いい調整をして明後日ぜひ勝ってつぎは決勝にいきたいと思います」
◆塩田仁史(流通経済大学)
「PKのときはキッカーが決めてくれるのを信じてたんで後は止めるだけでした。1本目、2本目とあいてに動きを見切られていたんで最後まで動かず見きわめようとしたら相手が甘いコースに蹴ってくれてあそこでストップできて本当に良かったと思います。同点にされたときはみんな気持ち的におちてて。自分たちのミスで点をとられてたのもあるんですけどまだ試合はおわってなかったし、最後まで集中して試合をあきらめないように声をかけました。今日はいろいろ運がありました(笑)。1点追いつかれて最後まであきらめなかった結果がこれだと思うんでまた次も一致団結して戦術確認をしていい結果を残したいですね」
■今日のヒーロー/田中信成(駒澤大学/4年)
 今日の試合後、キャプテンの岩政はこんなコメントを残した。「ノブが体を張って頑張ってくれるとチームがのってくるところがある」。田中信成、彼には誰にも負けないものをもっている。両足から繰り出されるダイレクトパス、これも必見だがそんなものより彼には誰にも負けない「ハート」がある。その闘志あふれるプレーはチームに最後まであきらめない気持ち、勝利への意欲をかりたててくれる。
◇26日16:00◇サッカー男子準々決勝◇寿城区民運動場
日本代表 1-1 中国代表
(1-0)
(0-1)
(4PK2)
得点者(アシスト)
【日】8分:山崎雅人(PK)
【中】89分:ワン・シュンユー

メンバー
GK[1]塩田仁史(4年)
DF[2]村山祐介(4年)
DF[13]江添健太郎(3年)
DF[5]岩政大樹(4年)
DF[3]川端和哉(4年)
MF[6]保坂一成(3年)
MF[8]田中信成(4年)←89分・[7]中後雅喜(3年)
MF[11]堀健人(3年)
MF[14]中田洋介(4年)←62分・[16]前田雅文(3年)
FW[10]山崎雅人(4年)←82分・[19]原一樹(1年)
FW[9]田代有三(4年)
MANAGER
西田裕之
GK[1]SUN Cheng
DF[3]YAO Xlang
DF[4]LIANG Hao
DF[10]SONG Fei
MF[6]YU Fei
MF[7]LI Shuang
MF[8]YUAN Wei
MF[12]MA Sanbao
FW[5]ZHANG Shu
FW[11]WANG Qiang←[20]SUN Lei
FW[15]WANG Weishuai←[9]WANG Shengyu

警告(C)/退場(S)
【日】90分:河端和哉(C)
【中】24分:LIANG Hao(C)、31分:WANG Qiang(C)、45分:YUAN Wei(C)

[シュート]5:8 [決定機]4:4 [枠内シュート]2:4 [CK]8:5 [FK]0:0 [オフサイド]3:2 [ファール]22:20 [主審]リバ・ミロスラブ(チェコ)

※上記データは全て左側が日本代表。枠内シュート、決定機は本紙記者による記録です
■その他の注目競技/女子サッカーはフランスに快勝!!
 女子サッカー日本代表は同じ会場で11時からフランスと対戦し4-0で勝利。準々決勝に駒を進めた。
 前半、体格差のあるフランスのディフェンスにやや苦しんだものの41分、近賀ゆかり(日本体育大学・1年)がドリブルで独走。キーパーをかわし落ち着いてシュートを決めると完全に日本ペースに。67分には途中交代の北本綾子(東京女子体育大学・2年)からパスをうけた安藤梢(筑波大学・3年)がするどい切り返し。ゴール左スミに豪快に叩き込んで2-0。この後も完全に足の止まったフランスを攻め立てる日本は83分に近賀、終了間際には北本が見事な個人技からゴールをあげ4-0の勝利を飾った。
 試合後、今泉監督も「みんながやるべきことをしてくれた。」と選手達をたたえた。次なる相手は中国。「アジア勢がライバル」(今泉監督)というように準決勝からは厳しい戦いが待っていそうだ。

■【GAME RESULTS】ユニバーシアード・テグ大会7日目
<国別メダルランキング>
1位・中国(G17、S12、B5)
2位・韓国(G14、S4、B5)
3位・ロシア(G13、S8、B19)
4位・イギリス(G5、S2、B1)
5位・フランス(G5、S1、B3)
6位・ウクライナ(G3、S7、B6)
7位・アメリカ(G3、S5、B9)
8位・日本(G3、S3、B9)
9位・ドイツ(G2、S1、B3)
10位・オーストラリア(G1、S4、B2)
10位・ブラジル(G1、S4、B2)
<陸上(男子100㍍)>
金メダル:Lambert Chris(イギリス)
銀メダル:Julius Leigh(南アフリカ)
銅メダル:Vojnovic Dejan(クロアチア)
<陸上(男子10000㍍)>
金メダル:Fitschen Jan-Gerrit(ドイツ)
銀メダル:Bay Abdellah(マレーシア)
銅メダル:橋ノ口 滝一(日本)
<陸上(男子110㍍ハードル)>
金メダル:Silva Anselmo(ブラジル)
銀メダル:Peremota Igor(ロシア)
銅メダル:Park Tea-kyoung(韓国)
<陸上(女子100㍍)>
金メダル:Qin Wangping(中国)
銀メダル:Szabo Eniko(ハンガリー)
銅メダル:Bolsm Elena(ロシア)
<陸上(女子100㍍ハードル)>
金メダル:Xu Jia(中国)
銀メダル:Likhuta Yauheniya(ベラルーシ)
銅メダル:Kresova Nataria(ロシア)
<陸上(砲丸投げ)>
金メダル:Li Fengfeng(中国)
銀メダル:Lee Myung-Sum(韓国)
銅メダル:Ivanenka Alena(ベラルーシ)
<陸上(女子ハンマー投げ)>
金メダル:Liu Yinghui(中国)
銀メダル:Khanafeeva Goulfia(ロシア)
銅メダル:Pogroszewska Agnieszka(ポルトガル)
<陸上(女子走り幅跳び)>
金メダル:Weeler Kylie(オーストラリア)
銀メダル:Jamieson Jane(オーストラリア)
銅メダル:Hejnova Michaela(チェコ)
<水泳(男子100㍍自由形)>
金メダル:Kaoralvo Andrei(ロシア)
銀メダル:Cozens Chris(イギリス)
銅メダル:Yegoshin Yuriy(ウクライナ)
<水泳(男子50㍍背泳ぎ)>
金メダル:Westcott James(アメリカ)
銀メダル:Ouyang Kunpeng(中国)
銅メダル:Shyrshov Vyacheslav(ウクライナ)
<水泳(男子200㍍個人メドレー)>
金メダル:森 隆弘(日本)
銀メダル:Bruckart Joseph(アメリカ)
銅メダル:Lucas Adam(オーストラリア)
<水泳(女子400㍍自由形)>
金メダル:Cooke Rebecca(イギリス)
銀メダル:Chen Hua(中国)
銅メダル:(韓国)Dyszkiewicz Magdalena(アメリカ)
<水泳(女子200㍍バタフライ)>
金メダル:Qi Hui(中国)
銀メダル:Luo Xuejuan(中国)
銅メダル:川辺 芙美子(日本)
<水泳(女子4×200㍍リレー)>
金メダル:中国
銀メダル:アメリカ
銅メダル:ロシア
<ダイビング(女子3㍍飛板飛込)>
金メダル:Wu Minxia(中国)
銀メダル:Gou Jing-Jing(中国)
銅メダル:Kotzian Ditte(ドイツ)
<フェンシング(男子エペ個人)>
金メダル:Luchenay Jean-Michel(フランス)
銀メダル:Steffen Benjamin(スイス)
銅メダル:Tourchine Igor(ロシア)、Marik Christoph(オーストラリア)
<男子バスケットボール>
■ウクライナ 65-75 中国
■ベルギー 85-81 エストニア
■スウェーデン 84―74 メキシコ
■セルビア・モンテネグロ 100―51 トルコ
■カナダ 64-61 オーストラリア
■ロシア 79-74 ドイツ <女子バスケットボール>
■韓国 72-60 スロベニア
■ハンガリー 67-68 日本
■台湾 72-53 チェコ
■アイルランド 66-98 ロシア
■イタリア 80-65 セルビア・モンテネグロ
■アメリカ 54-97 中国
■タイ 53―80 フィンランド
■メキシコ 86-74 カナダ
<男子サッカー(準々決勝)>
■日本 1-1(PK4-2) 中国
■イギリス 0-2 イタリア
■イラン 2-3 チェコ
■タイ 2-2(PK0-3) モロッコ
<女子サッカー(準々決勝)>
■中国 4-0 アイルランド
■韓国 0-0(PK1-4) 台湾
■日本 4-0 フランス
■北朝鮮 5-0 メキシコ
<柔道(男子81㌔級)>
金メダル:Kwon Young-Woo(韓国)
銀メダル:Fernandez Oscar(スペイン)
銅メダル:Bischof Oie(ドイツ)
<柔道(男子90㌔級)>
金メダル:泉 浩(日本)
銀メダル:Barreto Diego(ブラジル)
銅メダル:Rajcsnyi Gergo(ハンガリー)、Park Sun-Woo(韓国)
<柔道(女子63㌔級)>
金メダル:Pasquet Marie(フランス)
銀メダル:Ji Gyong-Sun(北朝鮮)
銅メダル:Gutierrez Africa(スペイン)、早田英美(日本)
<柔道(女子70㌔級)>
金メダル:Emane Gebvise(フランス)
銀メダル:Roberge Catherlie(カナダ)
銅メダル:Igleslas Leire(スペイン)、Bae Eum-Hye(韓国)
<男子バレーボール>
■セルビア・モンテネグロ 3-0 タイ
■ウクライナ 3-0 オランダ
■ポルトガル 3-1 中国
■メキシコ 3-0 南アフリカ
■韓国 3-0 トルコ
■カナダ 3-0 デンマーク
■日本 1-3 ロシア
■イタリア 2-3 台湾
■アメリカ 3-0 北朝鮮
■アラブ首長国連邦 3-0 オーストラリア
■フランス 3-0 ドイツ <女子バレーボール>
■中国 3-0 メキシコ
■イギリス 0-3 ロシア
■ウクライナ 3-0 イタリア
■オーストラリア 3-0 アルジェリア
■香港 0-3 カナダ
■南アフリカ 0-3 台湾
■日本 2-3 タイ
<テコンドー(男子67㌔級)>
金メダル:Oh Hyoung-Geun(韓国)
銀メダル:Aisa Yerkin(カザフスタン)
銅メダル:Itxisoa Aritz(スペイン)、Hamon Ruford(アメリカ)
<テコンドー(女子59㌔級)>
金メダル:Kim Sae-Rom(韓国)
銀メダル:Corsi Christiana(イタリア)
銅メダル:Chi SHU-Ju(台湾)、Beckel Stephanie(アメリカ)

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